今週は異国情緒漂う、マカオからお便りをお送りします。 つい1ヵ月ほど前に香港が中国本土に返還となったことは、みなさんの記憶にも新しいと思います。 マカオは、香港から水中翼船なるもので西へ向かうこと約1時間の位置にあります。 現在はポルトガル領となっていますが、99年には香港のように中国に返還されます。
マカオの土地全体というわけではありませんが、街中の所々に、南欧風の明るい色の建物や石畳などが見られます。 店にかかっている看板には、漢字とポルトガル語が書かれており、ポルトガル系の面立ちの人々が広東語を話している様子はとてもエキゾチックで、文化の交わりが生み出す面白さというか、奥深さを感じます。
今回マカオに来ているのは、バレーボールワールドグランプリ大会の1週目の開催地ということで、わがアメリカチームは3試合を消化した結果、0勝3敗とあまりありがたくない数字を残してしまいました。
私を除いた11人は全員、ナショナルチームレベルの国際試合の経験がなく、初戦は対ロシア戦だったのですが、一緒に戦っていつも見ていてかわいそうになるくらい、浮足だった状態でした。
ロシアに完敗した後、悔し涙を流したのは私ひとりで、皆は悔しがりつつも結構ほがらかに笑い飛ばしている様子を見て、ガックリとなってしまいました。
「負けたらこの世の終わり」 ということはありませんし、悲壮感を前に打ち出す必要もありませんが、一国を代表して試合で戦うことがどれだけ名誉であって、かつ責任のあることかをもう少し自覚してほしいなぁ、と思わずにはいられませんでした。
もっとも、自覚するということは、経験を積むことによって出てくるものでありますので、一度にいろいろなことを要求するのは酷なことだと思いつつ、私はかつてチームのスタッフだった心理学の先生が教えてくれたことを、頭の中で反すうしていました。
「人間は考える生き物だ。 繰り返し頭で考えることが、やがて心で感じるようになり、そして感じたことが行動に表れてくるものだ」。
今はまだ若いチームですが、これからの日々の練習や試合の中で 「自分たちはいつか世界の頂点に立ちたい。 一流のプレーヤーになりたい」と思い続けることによってのみ、その目標に近づいていけると私は信じています。
高い目標を持つことによって、そこにたどり着くまでの過程が、深い意味合いを持つことを教えるのが、私の役目だと感じた初戦でした。
(デイリースポーツ'97.8.12)
ヨーコ・ゼッターランドのスポーツ東西見聞録より
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