|
先日、実家から神戸のマンションに戻って来た時のこと。 玄関前にとめておいた自転車のカゴの中に1枚の白い紙を発見、チラシなら郵便受けに入れておいてくれればいいのに、とぶつぶつ言いながら、カゴから取り出しました。
紙を広げてみると、私の目にとびこんできたのは、 「黒鷲優勝おめでとう」 と太字でプリントされた言葉でした。 送り主の名前が記されていなかった私へのメッセージは、短くとも私の中にしみこんでいくのに十分なほど、その人のハートがこもっているものでした。
「住民のみんなが応援しています。 優勝しつづけるチームが好きだから皆、やめずに頑張ってほしい。 まちをあげて応援していくから一緒にやっていこう」。
このメッセージを目の前において原稿を書いている今、私の中では色々な思いが駆け巡っています。
この4月1日をもって、私がこの冬にメンバーの1人として戦ったダイエーは、そのチームの歴史に幕をおろし、新生 「オレンジアタッカーズ」
としてスタートしました。 形態としては、ダイエーの名はチーム名からとれたものの、ダイエーグループの中で存続し、第5回Vリーグに出場することも承認されています。
唯一、今までと違うことといえば、選手全員がチームとプロ契約をする、プロスポーツの集団になったということでしょう。 内容としては、バレーボールだけを仕事として給料をもらっているのだから、今までと何ら変わりはありません
。 しかし、今回はっきりプロだということを提唱したことによって、チームのマネジメントシステムが大きく変化する方向へと扉が開かれたのではないでしょうか。
日本の女子バレー界は、今まで各企業の経済力によって支えられれきた部分がたくさんあると思います。 各チームの選手、スタッフはもちろんのこと、協会もその恩恵にあずかることは、計りしれないものがあるでしょう。
企業が莫大(ばくだい)な力を擁していることは、素晴らしいことです。 しかし、その“大樹”の存在がいつしか当たり前のものとなり、その木陰で涼むことだけを考え、それになれてしまった日本のバレー界にとって、プロバレーボールチームとなったオレンジアタッカーズの存在が、どのような効果をもたらすのかが楽しみです。
「勝ち続けるチームが好き」 というメッセージがありましたが、これは真の力はすべての物事を超えて、必ず頂点に立てる世界があることを立証してもらいたい、という願いも入っていると思います。
フロンティアスピリットを持つ大和撫子(なでしこ)たちは、道なき道を進み始めました。 少しずつ、でも確実に自分たちの足で・・・。
(デイリースポーツ'98.6.2)
ヨーコ・ゼッターランドのスポーツ東西見聞録より
|