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このお話は私が以前プレーをしたことのあるチームでの出来事です。
ある日、合宿に来ていた高校生の男子チームを相手に練習試合をすることになりました。 セッターでトスを上げていた私は、ゲーム終盤近くの場面でセンターの選手に速攻のトスを上げたところ、彼女はそれを打ったものの、ひとり跳んだブロッカーの手に当たってボールがゆるやかなワンタッチとなり、相手に切り返されてしまい、逆にスパイクを決められてサイドアウトを取られてしまいました。
この後のゲーム運びといえば、私たちのチームはすぐにサイドアウトを取り返し、リードしたままゲームに勝ちました。 前出のワンプレーに関しては私は、ふられて遅れはしたものの、かろうじてブロックに跳んだ男子のラッキーなプレーだという判断を下していました。 私のトスも、使った攻撃も、タイミングも良かったし、打った本人も良いスパイクだった。 それでも決まらなかったのは敵方を褒めるべきときもあるものです。
そのゲーム終了後にくだんの彼女が私の方に近づいてきて少々遠慮がちに、しかしハッキリと、「ヨーコさん、さっきのような場面では私にトスを上げないでください」と言いました。私は瞬間、自分が聞き間違えたのか(と、信じたかった)と思いました。 何せ、トスが回ってこなかったアタッカーにめちゃくちゃ文句を言われたことはあったけど、自分にボールを回すなと言われのは彼女が初めてだったからです。
彼女いわく、自分はまだ大事な場面では決めることができないし、ほかのセッターもそういう場面で自分を使うと監督におこられる、のだとか。 私は逆に彼女に聞いてみました。 「それじゃあ、あなたは一体いつになったら大事な場面で決められるようになるの?本試合で出来るようにするために練習をしているんでしょ?」 と。
練習試合であっても勝つに越したことはありません。 しかし、何かテーマをかかげて実行し、負けたとしてもひとつの目標は達成されたことになるのです。 そして、やがてそれらが本戦で勝っていくことにつながっていくものです。 私は 「失敗」 は二通りに分けられると思います。 成功につながる、積極的なプレーの結果生じたミスと、その逆のケースです。
前者のケースなら、選手のチャレンジ精神を買って 「ナイストライ」 と言ってもいいのではないかと思います。
バレーでも人生でも失敗がないなんてありえません。 要はそれを繰り返さないよう、ステップアップにつなげればいいこと。 だから 「失敗は成功のもと」 という言葉があるんじゃないかしら。
(デイリースポーツ '98.8.30)
ヨーコ・ゼッターランドのスポーツ東西見聞録より
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