先日、知り合いの方からテニスを見に来ませんか、とお誘いをいただいた。 東レパンパシフィック大会の準決勝の日だ。 順当にいけば彼女が勝ちあがってくるはず・・・。 そう、先の全豪オープン決勝で、アメリカのダベンポートに敗れはしたものの、世界ランキング1位に君臨するマルチナ・ヒンギスだ。バレーボールと似ていることもあり、テニスは好きだ。 しかし、実は生で試合を見るのは初めて。 私にとって初観戦のプレーヤーがヒンギスだなんて最高だヮ、と足どりも軽やかに東京体育館へと向かった。
試合が始まり、テニス会場独特のシーンと静まりかえったなかで、硬球を叩く音が耳に心地よくひびいてきた。 さあ、おめあてのヒンギスはいかに、とゲームに集中して見ていたら連戦の疲れもあってか、今ひとつフットワークが鈍いように思えた。 スコア上でもあまりリードしていないし、心なしかラリー中のミスも多い。 これはもしかして格下のルビンにも勝機があるのかしら・・・と、考えていたら一瞬にして状況が変わった。 ヒンギス自身をとりまいていた空気がガラリ、と変化したのが見えた。
ゲームはまだ終わっていない。 得点板が示すかぎりでは、だ。 しかし、勝負はその瞬間に決着がついたのである。 それから主審がヒンギスの勝利をコールするまでにそう長い時間はかからなかったように思う。
では、ルビンが負けた原因は何だったのか。 ヒンギスに気おされたのだと私は思った。 動物的直感で 「今日はどうやっても勝てない」 ことを瞬時にして悟ったのだろうと感じた。
高性能なウェア、科学的トレーニング。栄養面での配慮にコンピューターによるデータ分析。 トップを目指し、あるいはトップに立っている選手たちにとって、あたりまえの環境になりつつある。 しかし、勝敗を分けるのは意外と原始的な部分での戦いなのではないかと思いながら、ルビンとヒンギスがロッカーに向かう後姿を見送った。
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